我が交友録 田中悠斗君とサイヒロコさん
2026 OCT 31 17:17:17 pm by 東 賢太郎
連日のサイバー被害で2億人以上のデータが流失している。「日本企業ではサイバー攻撃への対応が情報システム部門任せになり、経営トップの危機意識や責任ある対応が不十分だ!」と社説で威勢よく天下に警鐘を鳴らしてきた朝日新聞社も、自身がメール配信サービスをハッカーにやられてなんのこっちゃの恥ずかしい姿になってる。その昔「通学時の交通事故に気をつけよ!」と訓示を垂れた校長先生が演台から落ちて笑いをこらえるのに死ぬ思いをしたのを思い出した。
国内最大規模のホワイトハッカー集団イエラエを買収し、「世界トップクラスのホワイトハッカーの技術を月額4,280円で提供し、WebサイトやVPNの脆弱性を常時監視、ランサムウェアなどのサイバー攻撃リスクを軽減します!」と高らかにうたっていたGMOもがあっさりと自社の防御を破られ、脅迫状まで送り付けられてしまった。相手は素人だ、痕跡を残してるから検挙できるはずだ!言えば言うほど世界トップクラスの恥ずかしさが増すのに気づいてないようだ。
田中悠斗君はそうしたなかで引く手あまた、テレビで著名なホワイトハッカーである。35才。防衛大学卒。陸自出身。出自が申し分ない。「このままじゃやばいよな」ということで、昨日、某企業経営者に紹介した。朝日新聞ご指摘の通り、経営トップが責任ある対応をせないかんという趣旨の訪問だ。帰りに鰻屋で話を聞いた。最先端のプロを吹聴し課金できていたGMOの陥落は、全日本企業が丸腰という証明だ。脆弱性診断サービスお貸ししますなんてジョーク。 1秒でも放映を止めないためネトフリはシステムやサーバーに意図的に障害を発生させてシステムが正常に動き続けられるかを検証するツール「カオスモンキー」を自社開発し、社員に24時間365日自社を攻撃させている。
「本番環境で障害が起きても慌てないために、普段から意図的に障害を起こす『逆転の発想』できる日本の経営者、まずいないっす」「そりゃな、受験秀才は演繹思考だからなんだよ。金融界なんて秀才としても大したことないうえに話しても面白くもなんともない、そんなやつばっかだぞ。朝日新聞は分かってねえと思うけど “演繹の詰めが甘い” って批判してるわけよ、それでもって舌の根も乾かんうちに自分もやられちまって赤恥かいてるわけよ。でも赤恥と思わないツラの皮があるんだね、だってそれが入社以来やってきた演繹的学習だからね。それ自体がもう時代についていけないのがサイバー被害の事の真相だって帰納的思考はできねえだろうな、脳が赤く染まっちゃってる経営トップ入れ替えないとさ」。
悠斗君、新しいタイプのエリートと思われる。ハッカーなんだからヤンキーオタクと思っていたが、哲学書を読んでおりショーペンハウエルまで出てくる。「いま九鬼周造の『「いき」の構造』読んでます」「そうか俺も読んだよ、なんも覚えてないけどな(笑)」「攻撃と防御は対です。だから攻撃力ない奴の防御なんか何の意味もない。なのに防御対策をお願いしますって企業ばっかですよ日本って、お先真っ暗です」。そこでクラウゼヴィッツなんかが出てくる。攻撃型防御を鍛えてるわけだ。防衛大学校は軍人を育てる学校だから階級制で年齢は関係ない。年下が年上を部下に従えて平気になる教育、訓練をするらしい。「俺は尊敬してるよ、国防は必須の国事だし俺たちの知らないこと勉強してるんだからね」。ところが意外にも彼も東大につき結構な知識があり、ある意味で防大と似たところがあって学外の人はまず知らない「東大カースト制」まで知ってて笑える。「大学院っていつできたんですか?」「知らねえなそんなの、誰でも入れる大学院なんて東大生は誰も東大と思ってないからね。認めるのはあの入試受かった奴だけだよ。東大教授だって他大学卒いてね、そんな連中なんとも思ってないよ」。経営者のリクエストで彼と近々に外国に行くことになったが、こりゃ楽しみだ。
13年ぐらい存じ上げている公認会計士Aさんとペニンシュラでランチしてフランスの暴動の話になった。あいつら王様引きずり出して公開で首はねちゃう、人の家のお姫様まで。ひどいよね。革命なんて綺麗事で明治維新と同じでね、三条河原で秀次の一族郎党、女房も3才の子供も 30人も首はねた秀吉なみだ。しかもそれオリンピックのイベントで自慢しちゃうあの神経、どうも合わないんだね。トランプなんか顔に出てるけどマクロン会ったら嫌な奴だろうね、娘も留学させたし国と文化は大好きなんだけどなあ。そういやドイツ人も言ってたよ、「パリのベストシーズンは夏だ。バカンスでフランス人がいない」。10人いたら7人だめだね、でもそのドイツ人だって10人で5人かな、それ言うなら日本人もだなあ。なんのことない、俺は合う人あんまりいないんだね。合わせて生きる必要もないしね。そういやあなたとは何年前でしたかね、しばらくご無沙汰してしまって。
帰宅してからメールをいただいて2年4か月ぶり、しかも最後のイベントが間違っていたことが発覚した。僕としたことがどういう風の吹きまわしか大変失礼してしまった。女性とはどうも会話が弾むのが難しい、そういう中でご自身シューマンの交響的練習曲が弾けるピアニストでもあり、まったくそうではない希少な方でしかも会計のプロでもある。だからいちど仕事をお願いするのに家に来ていただいて家族もみな知ってる。僕のリスニングルームがいかにめちゃくちゃかもご存知だ。そもそも整理整頓という概念がない。「あれは僕にとって整然なんです」。だって何がどこにあるか全部覚えてる、記憶力は割といいんです。整理整頓第一の父に「お前の頭の中もこうだ」と罵倒されたがそれは正しい。 5番が左脳にあって右脳にある6番が瞬時に探し出せるから何も困らない。ということは世間一般の整然の見かけを作り出す時間と労力は僕にとっては無駄だから合理的帰結なのだ。
サイヒロコさんは今年の夏ごろだったか、初めっから意気投合して、フランス人に貴族の館を14年も無償で貸してもらっているほど “爆発的” に評価されている日本で稀有のアーティストだがその相手がフランス人であるという障壁も難なく乗り越えた。フランスのコンクールで最年少1位になり世にデビューしたという点で小澤征爾さんと相似形である。人間、地球、宇宙をつなぐのがアートであるという彼女の考え方に100%共感したことがこうしてお知り合いになった理由として最大のものだ。昨今の世の中、親が子を殺したり子が親を殺したり、学校の先生が生徒に猥褻行為をしたり、金融庁や証券取引所の職員が自分が取り締まるべきインサイダー取引で捕まったり、国民を裁く検事が部下の女性に性的暴行したり裁判官が賭博やってたりで有罪判決をうけてる。犯罪者は昔からいくらもいるが、その犯罪を最もやりそうもない人がやるってことになると法律だけでなく社会の規範までも犯してるわけで世も末だ。このタガが外れてぶっ壊れたゾンビどもに比べれば、知能犯であるサイバー攻撃などまだ人間喪失の度が浅い気さえしてしまうという噴飯ものだ。
冒頭の経営者にこう申し上げた。先だってブラックロックの奴と議論したんです。AIの次の株式市場がどうなるかって。サイバー攻撃者は大悪党かこそ泥かはともかく余計なコストを発生させて経済成長の足を引っ張る。GMOは1営業日で株価が約16%も下がった。だから対応が甘い会社の株は買われなくなる。日経225全部そうなんです。世界の株式運用市場でパッシブの比率は6割ぐらいです。ということは世界中の大体の株下がります。インデックスファンドもパッシブファンドも売れません。彼はインデックスの入れ替えが起こると明言した。対応策持つ会社の株上がります。でもスタートアップなんです。ここに金が流れて平準化して、だから全世界時価総額は均衡して下がりません。ブラックは逮捕リスクがある。社会的利益の損傷度合いによっては刑法改正して死刑だってありうる。 いっぽう正義の味方のホワイトはヒーローになって安全に富を得る。ブラックは割が合わないので市場原理で減っていきます。それ以上に、ブラックの奴らも映画マトリックスの世界になってコンピューターの肥やしになるの嫌ですからね。だから田中悠斗君連れてきました。
これは哲学的に非常に興味深い問題をはらんでいる。善とは何か悪とは何か。それは原理でもなんでもなくて人が決める。構成員たちは口々に「時代が変わったね」という。時代なんてものはその場で名前が決まる元号とは違って、世界史の教科書に載るまで誰も見えない。頼朝が幕府を開いてさあ今日から鎌倉時代だなんて言ったはずない。でも人間は時代というものがあると思っていて、今それが急速に変化しつつあるとと感じてる、それは恐怖の身代わりなのだ。誰しも変化についていけないことは恐怖だ。戦争は腕づくで時代をかえる愚かな試みだが勝った方も動かされていた動機の半分は恐怖だ。嫌なことはやらん方がいい。だから孫子は戦わずして勝てと言ってる。愚を犯してやっちゃってるトランプがノーベル平和賞欲しいのは悪の自覚があるからだ。そこが猿なみに欠落していたルーズベルトやトルーマンと違う、まだまともな人間である。
西洋にも啓蒙時代なんて言葉がある。ヨーロッパで啓蒙思想が主流となっていった17世紀後半から18世紀にかけて宗教と科学が分離した。その祖は「知は力なり」のフランシス・ベーコン(左)だ。シェイクスピアは彼のペンネームだったと言われるほど鋭い男だ。経験に基づく因果律から人間は自然の支配者たり得ると説いた彼こそ帰納法の元祖である。世の中すべて神の意志を説く宗教から演繹した時代に生まれた数学の天才ケプラーは惑星の公転起動が円だと考えたため火星の逆行運動から楕円軌道を発見するのに30年もかかった。日本は明治維新で一気に洗脳された「西洋様」が神の意志みたいな位置に鎮座して今に至る。あっという間に法律と軍隊を作って戦争が強くなったのはそれのおかげだが、だから、その成功体験に守られたエリート、学校秀才ほど帰納法ができないまま一生を送る。東大法学部ばっかりの役人の前例主義なんてのは明治由来の演繹法の干からびた化石みたいなものだ。
それにつけ込んだ財政法のくびきで緊縮財政を財務省にルール化させ30年もデフレにして日本の国力を弱め、大赤字の国家財政をよそに戦争ビジネスのアクセルを踏み、輪転機回しまくっても紙っペラのドルの価値を守るため郵貯などをサッチャーの民営化が範だとだまして株式会社化させ支配して、米国債のはきだめにして若者の夢を潰してくれたアメリカ民主党の悪党ども、権力闘争勝利と裏金目当てで乗っかった自民党の売国奴ども、インフレで民間が金持ちになって給料安い自分らが惨めになったバブルの悪夢再来を封じるにはデフレしかないと一丸となって国の未来を売った高級官僚たち。こういう連中を脳の乏しいマスコミが右だとか左だとかどうでもいい漫画的フレームワークで国民を扇動し、到底学者とは思えない竹中が国ごと騙して超親米小泉政権を作った。高市政権の圧勝がそれと似ているポピュリズムだとさらに脳の乏しい左翼が騒ぐが、高市早苗は以上の誰よりも頭が良い。学力も高い。彼女が信奉するサッチャーに最も近いところは何か?彼女の治世下、世界の金融のメッカであるシティで6年働いた生き証人である僕の目からするならば、「私がテムズ側を歩いて渡って見せたら、私の批判者たちは、あいつは泳げないのだと批判するわよ」と思いっきりコケにした、シェークスピアもかくやの箴言を残すほど頭が良かった点である。そういう人物に、反知性主義の井戸端会議のおばちゃんみたいな議員が明らかに総理を疲れさせるだけの目的をもってクソくだらない難癖つける参議院予算委員会。人間として生き恥をさらすあの品格のかけらすらない下賤な芸しかないのは毎度同情はするのだが、議員定数削減どころかあんなのしかいない参議院は心から日本国にとって税金と時間の無駄であって、まるごと削減してもらうことを願うばかりだ。
高市総理が作品に筆を入れた仲であるサイヒロコの「人間、地球、宇宙をつなぐのがアート」というテーゼは美学としても科学としても正鵠を得ている。自分にとって野球はケンカであった。打たれるならぶつけてもいいと思って投げ、手元が狂って首に当ててしまって騒然となったこともあった自分のなかに粗暴で動物的な面があることを初めて知った。それが家に帰ってモーツァルトを聴くと静まって一個の人間に戻るのである。もしそれがなかったら自分はどうなっていたかと思うとぞっとする。アートは物価も下げないし経済も成長させないが、人の心をまっすぐにしてくれる。第九交響曲を聞いて帰宅する道すがら殺人をしようと思うだろうか。アートの感動というのは光や空気振動という波動が宇宙、地球から心に伝わって湧き起こる自然の摂理だから心を安定させる。だから人間が本来の人間たるべく心も体も健康で健全な状態を保てるのである。
Categories:______日々のこと, 絵画





